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正規の簿記の原則

網羅性・立証性・秩序性

 NPO法第27条第2号は、「会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること」と規定しています。
 「正規の簿記の原則」の指示する内容は、一般的には次の3つとされています。

(1) 記録の網羅性
 すべての取引を、もらさず網羅的に記録すること。
(2) 記録の立証性
 すべての取引は、事実を立証しうるだけの客観的証拠に基づいて記録されること。
(3) 記録の秩序性
 すべての取引は、秩序正しく組織的に、そして相互に関連して記録されること。

 さらに、議論のあるところですが、上の要件に合致した会計帳簿から誘導的に貸借対照表、損益計算書など決算書類を作成するいわゆる「誘導法」も「正規の簿記の原則」に含まれるとする解釈もあります。


複式簿記と単式簿記

 「正規の簿記の原則」における「正規」とは、「真実な会計報告(公表財務諸表)の作成資料として適格である」ことを意味します。普通は「正規の簿記の原則」というと複式簿記のことを指す多いのですが、NPO法人は単式簿記でも構わないとされています。

(1) 簿記は、そもそも、他人から預かった財産等についての出入、増減の責任を明確にするためのものですから、自分の都合のよいことだけ記録し,、都合の悪いことは記録からはずす、というようなことをしてはならない。これが「記録の網羅性」です。

(2) また、受託した財産の出入、増減の責任を明確にするには「支出、収入の事実の有無」、「その支出、収入の指示」を、具体的な証憑書類によって証拠立てるべきである。これが「記録の立証性」あるいは、「記録の証憑準拠性」です。

(3) 先の2つ、「記録の網羅性」、「記録の立証性」ないしは「記録の証憑準拠性」は、会計記録さらには会計報告の信頼性を確保するための前提条件ともいうべきものです。それに対し、3つ目の「記録の秩序性」は「正規の簿記」であるための最も重要な、そして本質的な要件です。
 この「秩序性」は、記録の仕方そのものを指示しています。つまり、 個々の記録のあいだに組織的な相互関連性を要求するものであって、各種帳簿間に数値のつながりがあり、最終的には、公表の財務諸表の数値から原始記録まで跡づけることができるような記録であることを意味します。

 なお、単式簿記を採用する場合も、決算書類への数値のつながりが明らかになるよう、現金出納帳は多欄式のものを使用する、預貯金の出納帳を記帳するなど、取引を網羅し、相互の関連が明らかになるような帳簿組織を整える必要があります。


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