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NPO法人の会計書類(財務諸表)について

 NPO法人が毎年作成することが求められている会計書類(財務諸表)は、財産目録、貸借対照表、活動計算書の3つの書類です。

財産目録

 「財産目録」は、期末時点において法人が所有しているすべての資産及び負債について、具体的にその種類、数量、価額を付して記載した書類です。
 NPO法の条文には、財産目録まで含めて、財務諸表を「会計簿に基づいて」表示するよう定めていますが、本来は、財産目録は実地棚卸しによって作成されるものです。
 しかし、実務上は、貸借対照表の附属明細書のような位置付けがされることも多く、貸借対照表と関連付けながら「会計簿」から作成することも可能です。


貸借対照表

 「貸借対照表」は、期末時点における法人の資産、負債、純資産(正味財産)を記載した計算書です。一定の時点で区切ったとき、法人の残高がどのような状態にあるかを計数によって表示します。
 「貸借対照表」は、「会計簿」から誘導的に作成します。したがって、単式簿記を採用する場合、実地棚卸しによる作成を許容できるかどうかには、疑問があるところです。


活動計算書

1.資金の範囲
 「活動計算書」は、一事業年度内の収入と支出を記載し、活動の結果を動的に表示する計算書です。その際に問題になってくるのが、どのような範囲のものを「支出」あるいは「収入」と認識するのか、という「資金の範囲」です。NPO法ではその定義がなされていませんので、各法人が、事業の種類、規模に応じて判断することになります。

 「旧公益法人会計基準」別表には、「資金の範囲は原則として現金預金及び短期金銭債権債務とする」とあります。「旧公益法人会計基準」は、NPO法人の会計指針を定めたものであるとはいえませんが、これにならって収支計算書を作成することにすると、「短期金銭債権債務」を未収金、未払金、前受金、 前払金までとする場合と、短期貸付金、短期借入金までとする場合とで、収支計算書の表示が異なってきます。資金の範囲を拡大することによって、支払いに充当できる資金の残高を歪めるようなことがあってはなりません。

 ごく小規模な法人で、経費の未払いや前払い、会費等の前受けが重要でない場合は、資金の範囲を「現金・預金」とすることで足りる場合もあるでしょう。
 未払金、前払金、前受金、預り金等に重要性がある場合は、資金の範囲を「現金・預金及び短期金銭債権債務(短期借入金を含まない)まで」とします。これは、別の言葉でいえば、収入・支出の認識を、その原因が生じた期間のものとして行う、すなわち発生主義の基準で行う、ということです。この場合には、貸借対照表にも、未払金、前受金等と表示します。
 なお、未収金については、「受取りの権利が確定したもの」に限る必要があります。
大規模法人で、資金の範囲をこれ以上に拡げようとする場合は、財務諸表に資金の範囲を注記するべきでしょう。

2.資金取引と非資金取引
 NPO法人の財務諸表を作成するにあたって、「資金の範囲」とともに問題になるのが、固定資産や引当金の有無と借入金、貸付金です。
 
 固定資産の減価償却費や、将来の支出に備える引当金の設定は、非資金的取引であるため、収支計算書に表示されることはありません。この「非資金的取引」と上記1.の「資金の範囲」から、収支計算書上の「次期繰越収支差額」と貸借対照表の「正味財産(または純資産)」との間に金額のずれが生じます。 このずれは、作成を求められている書類が、貸借対照表と収支計算書であることから、当然に生じてくるものなのですが、2つの会計書類の間に数字のつながりがないことが、報告を分かりにくいものにすることもまた確かです。
 
 そこで、これを解消するために、正味財産増減計算書というものを別に作成したり、収支計算書の下にこれをつなげて作成する方法などがとられています。

3.区分表示
 借入金、貸付金、固定資産取得などによる資金の出入りがある場合は、「明瞭性の原則」から、経常活動の収支とは区分して表示することが求められます。



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