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定款(留意事項)

<第1条>必要的記載事項です。(法第11条第1項第2号)※登記事項
(1)名称に法令上の制限はありませんが、国や自治体の機関等と誤認するおそれのある名称、特定の個人や企業等団体の名称を用いることは、特定非営利活動法人の名称として不適当です。また、他の法律で使用が禁止されている名称もあります。
なお、登記上名称に使用できない文字や記号もありますのでご注意ください。
(2)英文名や略称を付ける場合は、次のように表記します。

<第2条>必要的記載事項です。(法第11条第1項第4号)※登記事項
(1)住居表示どおりに町名地番(ビル名、部屋番号等)までの記載をすることが適当です。
(2)活動の中心とするところを「主たる事務所」とし、それ以外の事務所をその他の事務所として、その全てを記載してください(他の道府県又は海外にその他の事務所がある場合も含みます。)。
(3)その他の事務所がある場合は、次のように表記します。

2 この法人は、その他の事務所を○○県××市△△町×番×号に置く。

<第3条>必要的記載事項です。(法第11条第1項第1号)※登記事項
(1)特定非営利活動を行うことを主たる目的とした法人であること等を明らかにするため、目的には、①受益対象者の範囲、②主要な事業、③法人の事業活動が社会にもたらす効果(どのような意味で社会の利益につながるのか)や法人としての最終目標等を具体的かつ明確に伝わるよう記載してください。
(2)専門用語や一般的でない表現等は、平易な表現に置き換えたり、専門用語の後に括弧書きで解説を加えるなどしてください。
(3)会員などの構成員相互の利益を目的とした活動は、不特定かつ多数の者の利益を目的とする特定非営利活動とは認められません。
 
<第4条>必要的記載事項です。(法第11条第1項第3号)※登記事項
法第2条第1項別表(144頁参照)に掲げる活動の種類について、該当するものを1つ以上選択して法の表記どおりに記載します。
<第5条第1項及び第2項>必要的記載事項です。(法第11条第1項第3号及び第11号)
※登記事項
(1)法人が行う具体的な事業の内容を記載してください。その際、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の内容は明確に区分しなければなりません。(法第5条第2項)また、定款に記載のない事業を行うことは原則としてできません。
(2)特定非営利活動に係る事業を行う場合でも、事業収入を得ることは可能です。
なお、特定非営利活動に係る事業であっても、税法上の収益事業に該当する場合は、課税対象となります。
(3)「(3)その他目的を達成するために必要な事業」とは、単年度限りの事業や試験的に実施する事業を指します。2年以上継続して同一の事業を行う場合は、定款変更して事業項目を追加する必要があります。
(4)2事業年度以内に行う見通しの立つ事業を記載してください。現時点で見通しの立たない事業は、定款には記載せず、実際に事業の実施が具体化した時点で定款変更(申請)し、事業を追加してください。
<第5条第2項及び第3項>
(1)「その他の事業」とは、特定非営利活動に係る事業を経済的に補うための事業、会員間の相互扶助のための共益的な事業などを指します。
なお、「その他の事業」は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り行うことができます(法第5条第1項)。
(2)「その他の事業」を行わない場合は、第2項及び第3項の記載は不要です。

<第2章>社員の資格の得喪に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第5号)

<第6条>
会員の名称や種類は自由に設定できますが、どの会員種別が法上の社員に当たるのかを明確にする必要があります。
なお、法上の社員とは、総会で議決権を有する者のことで、法人と雇用関係にある者(従業員)のことではありません。

<第7条>
社員に当たる会員の資格の取得に関して不当な条件を設けてはなりません。(法第2条第2項第1号イ)

<第8条>
入会金及び会費の設定をしない場合は、記載は不要です。

<第9条>
社員にあたる会員の資格の喪失に関して不当な条件を設けてはなりません。(法第2条第2項第1号イ)

<第10条>
退会は任意にできることを規定してください。(法第2条第2項第1号イ)

<第11条>
除名は、法人の一方的な意思で会員の資格を失わせるものですので、手続を慎重に行う必要があります。したがって、会員の除名は総会の議決事項とし、除名されようとする者に弁明の機会を与えることが適当です。

<第3章>役員に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第6号)
<第12条>
(1)第1項…法上の定数(理事3人以上、監事1人以上)を満たしていれば、定数の設定は自由です。(法第15条)
なお、役員の定数は、「○○人以上○○人以内」とすることもできます。
(2)第2項…代表者(理事長等)を選任しない場合は、理事全員が代表権を持つことになります。
ここに役職を設けた場合は、定款第13条の「選任等」と第14条の「職務」にもその役職についてそれぞれ記載します。

<第13条>
(1)第1項…役員の選任を理事会の議決事項とすることもできます。また、必ずしも会員の中から選任しなくても構いません。
(2)第3項…理事及び監事が6人以上の場合に限り、配偶者若しくは3親等以内の親族を1人役員に加えることができます。(法第21条)
(3)第4項…(法第20条)
(4)第5項…(法第19条) 

<第14条>
(1)定款第12条第2項で設けた役職について、その役職がどのような職務を行うのか、役職ごとに違いが分かるように記載してください。
(2)第1項及び第2項…「理事長は、法人の業務について法人を代表する。」旨の記載をした場合は、理事長のみが代表権を持つことになります。(法第16条)
理事長以外の理事が代表権を有しないことについて、この条文で明確にします。
理事全員が法人を代表する場合には、「理事全員は、この法人を代表する。」というような記載をします。この場合において事務の取りまとめ役として理事長を置く場合には、第2項を「理事長は、会の業務を総理する。」とすることもできます。
(3)第3項…副理事長が1人の場合は、「理事長があらかじめ指名した順序によって」の記載は必要ありません。
(4)第5項…監事の職務は法定されていますので、職務を減らすことはできませんが、「理事に意見を述べ、又は理事会の招集を請求すること。」など法定の職務に追加することは可能です。(法第18条)

<第15条>
(1)役員の任期は、2年を超えない範囲において、定款で定めなければなりません。(法第24条第1項)
(2)法人運営の円滑化を図るため、定款第13条において役員を総会で選任する旨を明記している場合に限り、定款第15条第2項として次の任期の伸長規定を置くことができます。(法第24条第2項)
(3)第3項…前任者は、辞任又は任期満了後も役員の地位にあるのではなく、臨時的に役員の職務を行うものであり、総会の招集などの権限は行使できません。このため、速やかに後任者を選任する必要があります。

<第16条>(法第22条)
定款第12条に定めた役員の定数の範囲内(例:○○人以上○○人以内)で任期当初に選任された人数が、その任期中の役員定数となります。

<第17条>
理事の解任を理事会の議決事項とすることもできます。ただし、監事の解任については、理事や法人の業務を監査するという監事の職務の性質上(法第18条)、総会の議決事項とすることが原則です。

<第18条第1項>(法第2条第2項第1号ロ)

<第4章>会議に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第7号)

<第19条>(法第14条の2及び法第14条の3)

<第20条>
定款第6条において、「法上の社員」と位置付けた会員を総会の構成員として規定します。

<第21条>
定款の個別の条文で総会の議決事項として規定しているものは、全てここに列挙して記載してください。総会は法人の最高の意思決定機関ですので、総会の議決事項が何かをこの条文で明確にします。(法第14条の5)
総会の法定議決事項は、次の項目です。
①定款の変更(法第25条第1項)
②解 散  (法第31条第1項)
③合 併  (法第34条第1項)

<第22条>
(1)第1項…総会は、毎年1回以上開催しなければなりません。(法第14条の2)
「毎事業年度開始前又は終了後○月以内に開催する。」という表現も可能です。

(2)第2項第1号…(法第14条の3第1項)

(3)第2項第2号…(法第14条の3第2項)

<第23条>
(1)総会の招集の方法については、定款で定めなければならず、また、総会の招集は少なくとも5日以上前に行うことを規定してください。(法第14条の4)
(2)全ての社員が必ずしも電磁的方法に対応できるとは限りませんので、「招集の通知は、電磁的方法のみとする。」と規定することは不適当です。

<第26条>
あらかじめ通知しない事項についても議決できるようにする場合には、第1項に次のように規定する必要があります。(法第14条の6)
平成24年の法改正により、社員総会の決議の省略をすることができるようになりました。あらかじめ定款で規定する場合は、第3項として次のように規定します。(法第14条の9)

<第27条>
(1)第1項及び第2項…(法第14条の7)
(2)第2項…「電磁的方法」とは、次の方法を指します。いずれも受信者が記録を書面に出力できるものであることが必要です。(特定非営利活動促進法施行規則第1条)
①電子メールの送信による方法
②ウェブサイトへの書き込み
③CD-ROM等の磁気ディスクを交付する方法
(3)第4項…(法第14条の8)

<第28条>
決議を省略した社員総会に係る議事録の記載事項について、あらかじめ定款で規定する場合は、第3項として次のように規定します。(法第14条の9)

<第29条>
理事会を置く場合は、理事会に関する規定を総会の規定と同様に定めることが必要です。

<第30条>
 理事会に関する権能について、「定款に別に定める事項」以外のものを規定してください。

<第31条>
定款第14条第5項第5号の監事の職務に「理事会の招集を請求すること。」と規定を追加した場合は、この条文に(3)として次の規定を置いてください。

<第32条>
全ての理事が必ずしも電磁的方法に対応できるとは限りませんので、「招集の通知は電磁的方法のみとする。」と規定することは不適当です。

<第34条第2項>(法第17条)

<第5章>資産に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第8号)

<第38条>
定款第5条に掲げた事業の種類に合わせて記載します。特定非営利活動に係る事業に関する事業のみの場合は、次のように規定してください。

<第6章>会計に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第9号)
<第40条>
「法第27条各号に掲げる原則」とは、正規の簿記の原則、真実性・明瞭性の原則及び継続性の原則をいいます。

<第41条>
定款第5条に掲げた事業の種類に合わせて記載します。特定非営利活動に係る事業に関する事業のみの場合は、次のように規定してください。(法第5条第2項)

<第42条>事業年度は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第10号)

<第46条>
(1)平成24年の法改正により、従来の収支計算書が活動計算書(活動に係る事業の実績を表示するもの)に変更になりました。
(2)毎事業年度終了後、前事業年度の事業報告書、計算書類(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録を作成し、全ての事務所に備え置き、請求があったときは閲覧させなければなりません。また、3か月以内に所轄庁に提出しなければなりません。(法第28条第1項、第29条)
(3)第2項…構成員(役員、会員等)に剰余金を分配することは認められませんので、剰余金の扱いを明確にするために規定してください。(法第2条第2項第1号)

<第7章>定款の変更と解散に関する事項は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第12号及び第13号)
<第48条>
(1)法第25条第3項に規定する事項に係る変更は、所轄庁の認証を受けたときに効力を生じます。総会で議決しただけでは効力を生じません。また、定款の変更の際には、原則として、社員総数の2分の1以上が出席し、その出席した社員の4分の3以上の議決が必要となります。(法第25条第2項)
(2)法第25条第3項に規定する事項は、10項目に限定されています。認証を受ける必要がある定款の変更事項を明確にしておきたい場合は、第1項に次のように規定してください。

<第49条>
(1)第1項…(法第31条第1項第1号、第3号、第4号、第5号、第6号及び第7号)
(2)第1項第3号…定款第6条の会員の種別で法上の社員と位置付けた会員を記載します。
(3)第2項…解散の決議には、原則として社員総数の4分の3以上の議決が必要となります。(法第31条の2)
(4)第3項…(法第31条第2項)

<第50条>(法第11条第3項、第32条)
(1)残余財産を譲渡できる相手は、法の規定により次の者に限られます。
①他の特定非営利活動法人、②国、③地方公共団体、④公益社団法人、⑤公益財団法人、⑥学校法人、⑦社会福祉法人、⑧更生保護法人
(2)帰属先を定めない場合、又は帰属先が明確でない場合は、国又は地方公共団体に譲渡されるか国庫に帰属することとなります。

<第51条>
合併の決議には、原則として社員総数の4分の3以上の議決が必要となります。(法第34条)

<第8章>公告の方法は、必要的記載事項です。(法第11条第1項第14号)
<第52条>(法第31条の10第4項、法第31条の12第4項)
「公告」とは、第三者の権利を保護するため、第三者の権利を侵害するおそれのある事項について広く一般の人に知らせることです。以下の場合については、官報に掲載することが必須です。
 ①解散した場合に清算人が債権者に対して行う公告
 ②清算人が清算法人について破産手続開始の申立てを行った旨の公告

<附則>
(1)附則は、法人として成立する時点(設立当初)で決まっていなければならない事項を定めたものです。原則として、一度規定した附則の削除・変更はできません。また、設立当初の附則は、設立総会の議決内容と整合するようにしてください。

(2)附則2…設立当初の役員は、定款に記載することと法定されています。(法第11条第2項)日本語の文字(漢字、ひらがな、カタカナ)以外の文字で氏名を記載する場合は、括弧書きでフリガナを記載してください。

(3)附則3…設立当初の役員の任期は2年以内とすることが必要です。
設立当初の役員の任期の末日を2年以内で事業年度終了日より2~3月後にずらすことにより、役員の不在(役員の選任漏れや任期切れ)を防ぐことができます。

(4)附則6…設立当初の入会金及び会費の額については、設立総会で決定し、附則に会員種別ごとに記載します。

【定款の変更をする場合の注意点】
(1)定款の変更をした場合は、現行附則の下に次のように改正附則を追加し、施行日(所轄庁の認証が必要となる場合は「認証日」(認証書が到達した日)、所轄庁への届出で足りる場合は「総会の議決日」)を記載します。

(2)事業年度の変更に係る定款の変更をした場合は、現行附則の下に施行日及び施行日を含む事業年度について、次のように記載します。